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2014.05.06 (Tue)

戦国無双4SS→捧げもの「真田家の衣装交換騒動日記」

 衣装交換ネタを捧げものとして書きました。年齢指定とかそういうわけじゃないのですが少々女性向けかもしれないので注意してください。人生初だよ…。


【More】

 「信之様と幸村はそっくりだって事証明してみせる!」
 唐突過ぎる稲姫の主張にくのいちは呆れる以外なかった。

 「稲ちんは信之様と幸村様は似ているって思っているんだ」
 「兄弟だし、結構表情の作り方とか目元とかそっくりよ。一緒に生活していると分かるの」
 「まあアタシも付き合い長いけど、確かに妙に熱いところソックリだわ。あ、信之様も幸村様もお互い尊重し合っている所とか?」
 稲姫は義弟を護衛している忍びとともに茶屋で雑談をしていた。どういうわけだが、甲斐姫や早川殿、更に直虎も一緒であった。
 「幸村様って戦うときちょっと怖い所あるけど終わると妙に物静かというか穏やかよね」
 「(ちょっとどころじゃないような…)信之様は物静かだけど少し幸村様に過保護な所があると思うわ」
 北条家の娘組がそれぞれ語れば直虎。
 「でも似ていると思えないのは性格もですけど髪型と髪の色も大きいような気がしますね」
 「なるほど。稲はどうして急にそんな事を?」
 甲斐姫はストレートに聞いてみた。
 「度々兄弟なのに似ていないって思われるのはちょっと悔しいのよ…。それをどうにか証明したくて…」
 「なるほど…でもどうするの?」
 周囲の評価を変えるとなると大変である。そんな甲斐姫の疑問を吹き飛ばすかのごとく稲姫は元気よく返答した。
 「衣装交換よ!これこそ二人がそっくりだって証明できるわ!」
 「稲ちん…本気?」
 「ええ、本気よ。けど、幸村は信之様より少し背が低いから信之様用に着物と鎧を作らなきゃ…ああ、二人の髢も…」
 もうそこからかよ、と皆が思ったことだが直虎は一本気な稲の性格を知っているので敢えて突っ込まなかった。と、その時である。豊臣秀吉の妻・ねねがやってきた。
 「あら、面白いこと考えているじゃない。あたしも一緒にやるわよ!」
 「おねね様…よろしいのですか?」
 「まっかせなさい!鎧も着物もあたしが作っちゃうわ」
 天下のおっかさんが加わったことにより衣装交換作戦を開始する稲姫たちだった。というか甲斐姫も早川殿もあの美男子兄弟の衣装交換ができるのは楽しそうだと思い、結局乗ってしまったのだ。ただ一人、直虎を除いて。
 「あの…信之様、幸村様…止められなくてすみません」

 その頃真田兄弟は屋敷でのんびり過ごしていた。
 「兄上とこうしてのんびり過ごすのも久しぶりです」
 「そうだな。しかしお前は子供のころからやんちゃで仕方なかったがな。度々城を抜け出す腕白さは変わっていないぞ」
 「そ、それは…昔の話を出すなんてずるいです」
 少々むくれている弟を前に信之はすまない、と謝った。普段は表情を崩さない幸村だが、自分や稲の前では感情豊かになるのはとても嬉しい。
 「そういえば義姉上は帰ってきた途端に何か作業を始めましたね。私の着物と鎧を貸してほしいと言っていましたが…」
 「あれだけ集中していると稲は話を聞かないからな…」

 ―その稲姫は自室に先ほど茶屋で集まった面々とともに作戦会議を始めた。
 「おねね様。幸村の着物と鎧です!」
 「ありがとう。じゃあ役割分担を決めるよ。鎧は…」
 このようにして役割分担は北条組こと甲斐姫・早川殿・直虎は二人の髢、ねね・稲姫・くのいちは着物、全員で鎧とし、女性連合軍による衣装と髢作りが始まったのであった。なおこの数日間、衣装づくりに専念している稲の様子に信之も幸村も敢えて何も言わなかった、否言えなかった。ものすごい形相であったことを。そんな兄弟の視線を気にせず皆の協力もあり、衣装づくりは完成したのだ。そう、信之の丈に合わせた幸村の着物と鎧を。
 「はーい完成したね。みんな、頑張ったわね」
 「おねね様のおかげです!有難うございました。甲斐、髢は?」
 「ばっちりよ!はい」
 甲斐姫と早川殿は2人分の髢を見せた。
 「凄い…完璧よ。やったわ!」
 「なるほど、それで数日間は忙しかったのだな」
 聞きなれた男性の声が聞こえてきた…発起人の夫、信之である。だが信之は特に咎めず、それどころか嬉しそうだった。
 「面白い事をしているなら私にも言ってくれれば…」
 「すみません…完成まで黙っておきたくて。あ、幸村は?」
 「幸村はさっき焼酎を飲んで寝てしまった…というか飲ませた」
 この言葉で自分の目論見が既にバレバレだと諭す稲姫だが、幸村が下戸の上に酒による眠りが深い事を分かって焼酎を飲ませたということは…、この人も変装する気満々だと思った。下戸と分かって弟に酒を飲ませる兄の所業に対する突っ込みは誰もしなかった。
 「絶好の機会ですね。信之様、今から幸村の着替えに取り掛かります!直虎様、甲斐、行きましょう」
 「それは良いけど…あ、どこにいますか?幸村様」
 「部屋まで連れて寝かしつけた。起きそうにもないから大丈夫ですよ」
 「ありがとうございます、信之様。では幸村の部屋へ行ってきます」
 信之は自分の着物を稲たちに渡して早速着替えた。流石ねねを中心に製作していたからか、特に問題なかった。鎧の方も完璧に再現しており、改めてこの為に意気込んだ女性陣の熱意を実感した。

一方稲姫たちは幸村の部屋へたどり着いた。
 「幸村は…あら、ぐっすり寝ているわね」
 「う~む、無防備な寝顔で可愛い。というか本当に完全に起きないわね」
 「あの、早く着替えさせませんか?それと髢も‥」
 「兄上……」
 幸村が起きたのかとぎょっとしたが、寝言だったので一安心する3人。長身の義弟に夫の服を着せるのは稲姫だけでは大変だったが怪力の甲斐姫と長身の直虎の助けにより、着替えに成功した。髢も付けてみたが全員絶句。
 「信之様が子供みたいに見えない?」
 「やばい、これ凄くいける…」
 危なっかしい乙女トークをする前に3人はその場を去り、信之のいる広間へ戻った。
 「信之様…幸村の着替えを終えまし…」
 「稲、どうかな?幸村の格好をした私は?」
 「…素敵です!幸村だって誰もが思います」
 おい、声でばれるのは何も考えていないのかよ。と、くのいちは突っ込みたかったが辞めた。確かにパッと見では見分けがつかないのは事実だが。
 「では皆で幸村の寝顔を見る事にしようか…」
 それをやらかして全員、幸村の仕草に何とも言い難い感情に見舞われたのは言うまでもないが、朝起きて幸村が絶叫したのも言うまでもない。

 ―明朝…、
 「兄上!義姉上!何故私は兄上の格好になっているんですか!?」
 珍しく幸村は取り乱していた。まあ寝ている間に違う服着せられていて驚くのも無理はないが、今の幸村は髢を付けているので完全に信之である。だがあまりの恥ずかしさにいつもの元気さも穏やかさもなく、恥ずかしさでいっぱいだった。逆に信之は凄く乗り気だった。恐ろしい位に…そうかつて孫市が企てた「天下の色男決定戦」と訳の分からない戦いの時のようなやる気だ。
 「幸村…われら兄弟が似ていることを証明するのだ。だからこうして衣装を交換しているじゃないか」
 「勝手に着替えさせて、それはないですよね!?恥ずかしいです…」
 乗り気な幸村と恥ずかしがる信之はかなり異様だと引いている直虎だが、他の皆はそうでもなく、寧ろ新鮮味があって面白そうだと思う有様。
 「ああもう、幸村可愛い!稲は嬉しいわ!」
 と、ものすごい勢いで幸村に抱き着く稲姫に幸村はただ戸惑うばかり。
 「義姉上…私はとても恥ずかしいです…。それと兄上の着物…少しぶかぶかします」
 「良いじゃないか。その位余裕があった方が可愛げあって良いぞ、幸村」
 満面の笑みで親指を立てる信之。自分の姿で恐ろしいことを言っていると本能で感じ取る幸村をよそに信之は楽しそうに答えた。速く隠れたいが稲姫の力が思った以上に強くて逃げられない、隠れられない、何よりも尊敬している兄の視線が今は怖い。
 「ずるいぞ稲。私も幸村に抱き着きたいのだよ!」
 「なら一緒に抱きしめましょう!やっぱり可愛いです~幸せ」
 「私もだ!」
 今度は信之まで抱き着き、幸村は全く身動きとれず恥ずかしさでどうして良いのか分からない状態だった。
 「稲、良かったわね。あ、でも兄弟そっくりだって証明させるにはまず誰に見せた方が良いかな?」
 「それなら三成たちでしょ。幸村なら振り向くよ」
 「行きましょう、おねね様。三成たちを驚かせる絶好の機会です」
 「うん!よーし、三成の仕事部屋へ行くわよ!」
 なお幸村はすでに半泣きで恥ずかしさのあまり外で出たくないと言いだすが、大切な友人である三成達に何かあっても困ることもあり、外へ出ることにした。ただ恥ずかしい事もあり外套を着て裏口から入ることになったが。

 「みーつーなーりー。幸村呼んできたよー」
 と本人の断りもなく、堂々と三成の部屋へ入るねねに三成は不満の表情を隠さなかった。
 「おねね様、断りもなく入らないでください、と何度…」
 「仕事熱心も良いが休憩しないと身が持たないぞ、三成」
 一瞬世界が止まった、と三成は思った。が、
 「信之…なんで幸村になりすましているんだ!?」
 屋敷の壁にひびが入らんばかりの大声で叫んだ。

 「ばれちゃったか」
 「声でバレバレじゃないですか!大体幸村は私の事を呼び捨てにしませんから!」
 尤もな突っ込みをする三成を気にせず、信之。
 「幸村と私が似ているということを稲が証明すると言って着物を交換したんだ。周りの女性たちは好評だったが流石にお前は無理があったか」
 「幸村の姿で変な事を言うな!却って怖いぞ」
 さっきから鳥肌が立って仕方ないのに全く動じない女性陣の精神力はある意味感心する三成。幸か不幸か兼続・左近・吉継と知った顔の連中がぞろぞろやってきた。もちろん、三成の声に気づいたからである。
 「三成、信之殿がどうしたのだ?」
 「あれ?幸村じゃないか?どうした…」
 左近は三成が固まる理由はすぐにわかった。目の前にいる青年は幸村ではないのは分かった。
 「左近殿、兼続、吉継。挨拶に来た」
 「…似ていると言った方が良い流れか」
 「うーむ、それが良いでしょうな、流石兄弟。これなら大丈夫ですぞ」
 と、元気に兼続は答えるが左近も三成もそんな気になれなかった。ここにはいない幸村はどうしたのだろうか。
 「ところで幸村はどうしたのだ?まさか…」
 「今、私になりすましている。恥ずかしがり屋なのか、外套をまとったままで縮こまっているぞ。私があれだけ似ているから大丈夫だと言っているのに、頑固者で困ったものだ」
 そこが幸村の可愛いところだ、と堂々と言い切る信之に兼続は素晴らしい兄弟愛だと褒めるが三成は異常な弟愛にドン引きする以外なかった。
 「やっぱり兄弟愛だよね、三成」
 「それ以前の問題として信之は行きすぎでしょう!!」

 信之を見てドン引きしている頃、幸村は人目を避けて裏口から入ったが、信之だと思われている事がとても恥ずかしくて仕方がなかった。外套をまとえば、ある程度顔を見せないで済むと思ったが、さすがにそうはいかなかった。
 「皆、私の今の姿を見て兄上だって思っている…。兄上と私は似ているということになるけれど…」
 などと考え事をしていた時に清正と正則に見つかってしまった。
 「何しているんだ?真田兄貴」
 「あ、清正殿…正則殿…私は兄上じゃありません。幸村です」
 「ゆ、幸村か!?お前、なんで兄貴の格好しているんだ!?」

 ―清正の部屋。普段の大人しさもなければ、戦場での勇ましさもない幸村に面喰いながらも清正はこれまでの経緯を整理していた。
 「起きたら、いつの間にか兄貴の格好にされた!?」
 「はい…」
 「何か変な事無かったか?ほら、事件の前日に大きな物音がしたとか芝居でもあるようなことが」
 と、正則は幸村に尋ねた。
 「数日前から義姉上は私の鎧と着物を貸してほしいと言いだしていました…」
 「間違いないな。で、他は?」
 「あ、そういえば変装される前日…」

 その日の夜…中々寝つけなかった幸村は中庭で静かにたたずんでいた…というより、星が綺麗だな…とか、月に兎がいるかとか、ぼーっとしていた時、信之の声が聞こえた。
 「幸村、どうしたのだ?」
 「兄上…実は中々眠れなくて…」
 と、気恥ずかしそうに答える幸村。信之は絶好の機会と言わんばかりに焼酎を用意した。実は信之、妻のたくらみは見て見ぬふりをしていたのだ。そもそもあれだけやる気満々だったのだからばれるのも当たり前だろうが、そこは触れないでもらいたい。衣装交換して周囲に自分たちが似ていると証明させるという妻の考えは面白そうだと思っていたので、ノリノリだった。
 「この焼酎はほろ酔い程度の弱いものだが、眠るには丁度いいだろう」
 「良いのですか?」
 「兄弟に遠慮はなしだ。一緒に飲もう」
 もちろん、弱い酒というのは大嘘。下戸ならすぐ倒れてしまうほどの強い焼酎である。そんな事とはつゆ知らず、幸村は焼酎を飲んでしまい一口飲んですぐ倒れた。
 「これで稲も着替えに手間取ることはないだろうが、幸村をこのままにするのは良くないから部屋まで運ぼう」

 と、先ほど触れた酒の一件はこうであった。
 「お前…まんまと嵌められたな」
 「お恥ずかしい限りです」
 外套で表情は分かりづらいが、相当恥ずかしい思いをしているのは嫌というほどわかる。既にマイナスオーラ駄々漏れで空気が重い。清正も正則も流石に幸村を元気づける勇気はどこにもなかった。下手な言葉をかけて、傷つけることになればどうなる事か…三成もえらく気に入っているし、上杉の連中も黙っていないだろう。何よりも彼の兄・信之に仕返しされそうで怖い。
 「そろそろ兄上を探さなければ…」
 「その方が良いかもな。ま、俺も一緒に探すわ。安心しろ、人目を避けてやるから」
 「屋敷の事なら俺達に任せろ、な!」
 「ありがとうございま…」
 と、二人に礼を言いかけたとき、三成は勢いよくふすまを開けてきた。
 「清正、幸村がどこにいるか知らないか?!」
 「(いきなり開けてくるなよ…)いるぜ、ここに」
 そこには信之の変装をして縮こまっている幸村がいた…。よほど恥ずかしいのだろうと思った。
 「み、三成殿…兄上は…」
 「別に何もしていないから安心しろ。俺の部屋から出ないように釘を刺している」
 未だかつてないしおらしさに戸惑うも三成は必死で平静を装い、幸村の肩に手を置いた。が、それを黙っているような真田家ではなかった。
 「幸村!なんで変装を堂々と見せないの!?こんなにそっくりなのに!?」
 「外套外しなさい、幸村」
 「嫌です!好き勝手な事やっている兄上も義姉上も酷すぎます!いつ私がやりたいって言ったんですか!?」
 と、怒りに任せて叫ぶときに外套を外してしまった事に気づき、幸村は固まってしまった。
 「あの…みなさん…ジロジロ見ないでください…」
 再び外套で身を隠すも時遅し。ねねがそれを回収してしまったので、隠れる術を失ってしまった。信之になった幸村の姿を見て三成も後から来た兼続たちもこの夫婦が喜ぶのもすぐ分かった…。
 「幸村が持ち合わせている弟特有の可愛げと普段より大きめの着物故にだぼついている感じが幼さを見せ、恥じらいが一層幸村に対する欲望を刺激する感じか」
 「お前…この状況で良く分析できるな」
 「この場合、幸村をどうする流れだ?」
 「どうもこうも、そろそろ変装辞めさせないとダメでしょ…殿」
 「そうだな…幸村、今すぐ着物を用意するから暫く待ってほ…」
 とうとう幸村は恥ずかしさと感情任せに怒ってしまった後悔で泣き出してしまった。着替えたいとか、売り言葉に買い言葉で申し訳ないとか、それしか言わないので誰もが泣き止ませるのに必死だった。
 「落ち着くまで俺の部屋にいても構わないから、落ち着こう…な」
 「清正、暫く幸村を頼む。俺は幸村の分の着物を用意する」
 結局、この衣装交換騒動は子飼い達に色々持っていかれた形で終結した。そして幸村はこの数日間、信之と稲姫を無視し続け、二人をはじめ衣装交換に関わった面々はひたすら謝り続けた。


 おまけ
 衣装交換騒動から1週間が過ぎた頃、幸村も漸く信之と稲姫の事をゆるし仲直りすることができた。
 幸村「私は似ているとか似ていないとか、そのような事は何も気にしておりません」
 信之「幸村、本当にすまなかった…お前の事を傷つけるなんて兄として失格だ」
 稲姫「私も義姉失格でした。本当にごめんなさい」
 幸村「恥ずかしかったのですけど…その…兄上の着物を着ていて何だか身近にいる感じは…しま…した…」
 信之「幸村…そこまで私の事を…」
 稲姫(そういう恥じらいが却って信之様の弟病を悪化させるのに…でも私にとっても幸村は可愛い義弟!ずっと仲良く暮らしたい!)
 そして信之のブラコンは一生治ることはなかった
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